[色彩変異について]シロヘビは実在するのか!?アルビノとリューシスティック、色彩の遺伝についての解説

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シロヘビと聞きくと、どんなヘビを想像しますか?

シロヘビと言えば、体が真っ白で目が赤いヘビを想像しませんか?

神社にはシロヘビの絵や置物があり、巳年の時も似たようなものがお店に並びます。それらのシロヘビは真っ白な体に赤い目をしています。こんなヘビは実在するのでしょうか?

シロヘビのモデルとなったのは岩国のシロヘビと言われております。
岩国のシロヘビとは、山口県岩国市に生息するアオダイショウのアルビノ個体で、それは遺伝によって子孫の代にも受け継がれています。

ですがアルビノのアオダイショウのほとんどは目は赤いが、体は白地に黄色い模様が入っており、真っ白ではありません。
では我々が想像するようなシロヘビは実在するのでしょうか?

【結論】シロヘビは実在するが、野生下ではほぼ100%いません。
なぜなら体を白くする遺伝子と目を赤くする遺伝子は別であり、その両方の遺伝子を持って初めて神社や店頭に並ぶようなシロヘビは生まれます。野生下でその両方の遺伝子を持ったヘビが産まれるのは極めて稀だからです。

↑ボールパイソン(アルビノ)

ここでは、シロヘビが生まれるために必要な遺伝子、アルビノリューシスティックについてお伝えしていきたいと思います。(この記事には広告を含みます)

動物の色素について

動物は黒色色素赤色色素黄色色素の3種類の色素を持っており、この3種類の色素がどのような比率で発現するかによって体色に変化が生まれます。
(中には青色色素も持っている動物もいて、一部のヘビやトカゲのように青や緑の種もいます。)

アルビノ

アルビノは黒色色素(メラニン色素)の持たない色素欠乏の総称です。
黒色色素がないが、赤色色素黄色色素は正常に発現しているため、ほとんどの動物、特に爬虫類のアルビノの多くは真っ白い個体がおらず、黄色やオレンジなどの体色をしています
また目も黒くならず、赤くなります。
ただこれは赤色色素の影響ではなく、血液の色によるものだと言われております。

アオダイショウのアルビノも同じで、体が真っ白ではなく黄色がかっており、目が赤いです。

↑カーペットパイソン(アルビノジャガー)

リューシスティック

リューシスティックは全ての色素の生成量が少なく体が白化します。
リューシスティックとアルビノはまったくの別物です。
自然界ではホッキョクグマやハクチョウのようにリューシスティックの方がメジャーとなっている生き物もいます。
またホワイトタイガーやウーパールーパーもリューシスティックの個体が有名です。

そしてリューシスティックの目は黒くなります。
なぜなら黒色色素がないアルビノと違い、リューシスティックの場合少ないながらも黒色色素も持っています
そのため、リューシスティックは体は白く、目が黒くなるのが特徴です。
つまりこれも理想形のシロヘビとは少し違います。

↑ブラックラットスネーク(リューシスティックオールアイ)

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シロヘビが誕生するには

体が真っ白で目が赤いシロヘビが生まれるためには、アルビノとリューシスティックが同時に発現しなければいけません。
自然界で存在することは極めて稀です。
なぜなら、この2つを同時発現させるには両親がそれぞれアルビノとリューシスティックの遺伝子をもっていないといけないからです。

爬虫類ショップで見ることのできるシロヘビはボールパイソン(ホワイトデーモン)やブラックラットスネーク(レッドアイリューシスティック)になりますが、これらも比較的レアなため高額で取引されています。

↑ナンダ(アルビノ)

ここからは少しややこしい話なりますが、
アルビノとリューシスティックは共に劣性遺伝です。
劣性遺伝とは、父親と母親から受け継いだ2つの遺伝子のうち、両方に変異があった場合のみその特徴が発現する遺伝形式のことであり、
つまり両親共にアルビノじゃなければ子はアルビノにならず、リューシスティックも同様です。

また片親だけがアルビノ(劣性遺伝子)を持っている場合、子はhetアルビノ(ヘテロアルビノ)となり、見た目は通常個体と変わりませんがアルビノ遺伝子を持つ個体となります。

そして子がアルビノ(外見がアルビノ)となる確率は、

アルビノ×アルビノ→100%
アルビノ×hetアルビノ→50%
hetアルビノ×hetアルビノ→25%

となり、外見は通常個体だとしても両親がアルビノの遺伝子を持っていれば子に遺伝する可能性があります。
リューシスティックの場合も同様です。

そのためアルビノとリューシスティックが同時に表現として現れる個体が生まれるには、

①アルビノ×リューシスティック
→100%hetアルビノhetリューシスティック

②hetアルビノhetリューシスティック×hetアルビノhetリューシスティック
→6.25%アルビノリューシスティック

最短でも二世代を経て、かつ生まれる確率は6.25%とかなり低いため自然界でみることはなく、爬虫類ショップで見ることはあっても高額で販売されています。
ただブラックラットスネークのアルビノリューシスティック(レッドアイリューシスティックと表記されることが多い)は5万円前後でかつとても飼育しやすいヘビですのでとてもオススメです。

↑ブラックラットスネーク(レッドアイリューシスティック)

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シロヘビは体が弱い?

アルビノやリューシスティックは体が弱いと思われる方も少なくないようです。確かにアルビノは視力が低くかったり、紫外線に弱い等のデメリットがあるそうですが、ヘビのほとんどは目を頼ることが少なく、紫外線ライトも必要ないため飼育下での支障は特にありません
リューシスティックは上述したように、ホッキョクグマもハクチョウもリューシスティック個体で自然界を普通に生きているため、特に身体が弱いということはありません。

まとめ
体が真っ白で目が赤いシロヘビは野生化で出くわすことはほぼありませんが、爬虫類ショップで見ることができ、もちろん飼育も可能です。ですがそのシロヘビはかなりの低確率で生まれた神秘的なヘビです。体が弱いと勘違いされることも多いようですがそういったこともなく丈夫で飼いやすいシロヘビもいますので、是非美しいシロヘビを飼育してみてはいかがでしょうか。

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